2010年11月7日日曜日

公開読書会のコンセプトやチーム編成など

 初めまして。文芸批評をやっています、坂上秋成です。

 すでにイベント当日まで二週間を切っている公開読書会&トークイベント、おかげさまで続々と参加申し込みが寄せられています。ありがたいことでございます。
ただ、どうもツイッターでの反応を見たりしていると(自分はid:ssakagamiでツイッターにいます)、いささかハードルの高いイベントだと感じている方も多いように感じます。もちろん、課題図書を設定している以上、ただトークイベントを聞きにいくよりは多少手間のかかるものにはなってしまうのですが、さして身構える必要があるものでもないですよとメンバー一同考えています。

 第二部の公開読書会では、メンバーと参加者を三つのチームに分けて、車座の形でそれぞれの読みを展開することになります。ここではもちろん参加者のみなさんからの声もお聞きしたいところですが、強引に意見を聞き出すものではないですし、何かしゃべらないとマズいというようなものでもないです。他の人の話を聞き、思うところがあればしゃべってみようくらいで十分です。
 また、ものすごく精緻な読みを課題図書に対して行うという趣旨のものでもありません。たとえば、今回は課題図書として『宇治拾遺物語』が設定されているので、何か古典に深い造詣があったり、ガッツリ原典を読みこんでこなければいけなかったりといったことを考えてしまうかもしれませんが、実際シミローグのメンバーでも「宇治拾遺」を読むのはこれが初めてという人がほとんどです。課題図書を設定した朝吹さんも、「宇治拾遺」を現代の小説群と同じような「物語」としてフラットに読んでみたいという趣旨で選んでいるので、専門的な知識は不要だと考えてもらってだいじょうぶです。
 何が言いたいかというと、「意外とゆるゆるした空気なので気楽にきてもらえると嬉しいです」ということですね。もちろん、読者参加型の読書会を目ざしている以上、活発に議論が行えればそれは理想的ですが、今回はなにせ初回、とりあえず様子見という感じで来てもらってOKです。

 そんな感じの第二部ですが、チーム編成は以下のようになっています。
 
 Aチーム:朝吹真理子(小説家)、窪木竜也(「早稲田文学」編集者)
 Bチーム:間宮緑(小説家)、坂上秋成(文芸批評家)
 Cチーム:明石陽介(「ユリイカ」編集者)、浅井茉莉子(文芸誌編集者)、北原美那(編集プロダクシ   

       ョン勤務)、淵田仁(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)

 とりあえず便宜的にABCとしてみましたが、そのうち何かイケテるチーム名がつくかもしれません。それぞれのチームのコンセプトはこんな感じです。

Aチーム:
 「早稲田文学」編集者の窪木竜也さんと私の車座では、いまの読書として、日本の古典籍をどうおもしろく読むのか、それをとっかかりとして、前もって議題などは決めず、とりとめのない読書の話をいっしょにしてゆければと思います。現在は、日本の古典を<ただ楽しむ>ように読むことがむつかしくなっていると私は思っています。
 安部公房作品(「無関係な死」、「なわ」)、『宇治拾遺物語』を読んだひと同士として、気楽にことばのやりとりができれば嬉しいです。
 「読む」ことは、基本的に、ひとりきりの行為です。同じ本をいっしょに読むことはできても、「読む」こと自体はめいめいの行為でしかありえません。だからこそ、読書はすばらしいのですが、ひとりきりでふだん味わっている作品のはなしを、ゆくりなく出会ったひとびとと交流するのもまた愉しいことであろうと思います。公開読書会で、あたらしい読みの小径をたがいに発見し合うことができたら、家に帰ってからまたはじまるひとりきりの読書がより刺激的な行為になるのではないかなと思います。(朝吹真理子)


チームB:
 「2010年という時間の中に、安部公房の短編と『宇治拾遺物語』を置くとどのように映るのか」、そのような視点からぼうやりと言葉をつむいでいければと思っています。それは時間軸をかなりの程度無視して、同じ平面で複数の作品を語っていくということなので、やはり強引な読み方に見えてしまう部分もあるはずです。
 しかし、正しい読みを行うことが重要である(もしそれがあるとすれば)のと同じように、奇妙な文脈の中に作品を置き直し、これまでなかったような読みを発見していくこともまた、読書や批評のの悦楽であるように思います。
 課題図書をベースにしつつ、最近の小説の話や、創作に関わる話まで、広くゆるやかに展開していくつもりです。(坂上秋成)

チームC:
 安部公房「無関係な死」の時間の伸び縮みと歪み、「なわ」の没入を妨げる装置と語り手を、作者不明で現代では文体の受け取りがほぼ不可能になってしまったにもかかわらずなおも「読ませる」、プリミティヴな物語としての「宇治拾遺」を補助線に引きながら考えてみたいと思います。


それぞれの関心に合わせて座る場所を選んでみてください。途中での移動もできますので、全体を見て回るのも面白いかもしれません。

今回はそんな感じで。まだ未定ですが、トークイベント&公開読書会のあとには秋葉原近辺での食事会なども考えています。愉しい交流の時間が過ごせることを楽しみにしています。

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